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日記 definitive

2026.10.15

2026.10.12(MON)

●Tim Bernardes(Brazil)『Mil Coisas Invíveis』(2022)

●バーバパパの「ただ浮かぶ脳裏のモーション」を聞いていたおすすめで(今さら?)これを聞いた。

普通にいい曲でMVも含め(というかMVで出会ってしまったのでもはや映像と切り離せないが)かなり好きなのだが、4602万回(2026/10/15時点)も再生されてるのに驚く。もちろん邦楽が海外でも聞かれるようになった以後で世界中に聴かれているから母数が多いというのはわかるが、とはいえ、少なくとも10年前だったらボーカロイドの曲(1)でアニメキャラの映像(2)で日本語の歌詞の曲(3)がこんなに聴かれるはずがなかった。こういうのを感じると、ボカロを聞いていた2010年代前半の当時、ボカロはマジョリティにははっきり言って気持ち悪がられていた、という実感を思い出すと、その過去がなかったかのように人気になっているのはモヤモヤではないけど、何かそこを繋ぐ言説が抜け落ちているという感覚にはなる。(ただし当時ボカロを聞いていじめられるみたいな話ではなく、聞いてる側もその良さは感じつつ自虐的にボカロを聞いてることを楽しんでいた、ということは言っておかないといけないが。)これはいつも言ってるけど、ボカロ好きが一般的な音楽好きとは全くイコールではなく、音楽一般の文脈に位置付けて語られることなくここまで来てしまっているという話ではある(もちろんいくつかの雑誌等で論じられているのは知っている)。それと、ボカロを聴くことがマイノリティであるのは確かであったが、一方でボカロはあくまで完全な「ポップミュージック」(過去の引用をもとにした大衆音楽)でもあった、ということは強調しておく必要がある。

それはいいとしていい曲で、カタルシス的な盛り上がりがないこの曲が人気になっているのはいいなと思う。正直リミナルスペース的流行の後追いではあるけど、MVの世界観もいい。細かいけど、いろんな光量の違う背景にテトの明るさ?が毎回自然に合成されてるのが動画作る人ちゃんとした人なんやなあと思う。

あと、歌詞見ながら歌ってみるとわかるけど、(特にサビ?の)メロディの拍の取り方が洋楽(英語歌詞)的でそこも海外で聴かれる理由なんかなあ、と思った。

●最初に言った「ただ浮かぶ脳裏のモーション」。

テトが逆光で顔が黒くなってる(目だけ明るい)状態がかっこいい。バーバパパは明らかに原口沙輔と並ぶここ数年の中での天才だけど、バーバパパは(あえていうなら)youtubeを主戦場にした映像作家、というのがどう批評したらいいのか誰も掴めず、(再生数と知名度はもちろんあるが)「マイナー」な存在にとどまってるという印象。(かつ私はそれでいいと思ってる。)

●最初の「ブレインロット」と同じ東京真中の他の曲。

曲としては「ブレインロット」の方が好きだが、とにかく映像の「クオリティ」が高いなあと思う。アニメにノイズが薄くのってるとことかテクスチャの時代の今っぽい。もう随分前から、tiktokでバズるために展開が多かったり短い曲が増えてるとよくいうけど、今さらそういう曲を聴いた気がする。2分の曲で1:00くらいで(構造としてのCメロじゃなくて、カタルシスの前の前振り程度の意味で)Cメロみたいな展開になるけどすごく自然で、時間感覚がおかしな感じになる。これを聴くと、短くて展開の多い曲=ドパガキ向けのジャンキーな音楽みたいな世俗的な印象に反して、かなり構築的で知的な音楽ですらあるように思った。単純にいい曲だし、音楽的にもいい新しさがあるやん、って感じ。

この人のoddなシンセめっちゃいいな。

●今のボカロ曲のMVが昔のボカロの全盛期のMVに比べて明らかに「クオリティ」が高いのは資本がかかってるのはもちろんだけど、それ以上に単純な技術の向上・民主化が大きいんだと思う。でも、こんなことはよく言われる一般論だけど、制約がある条件だから生まれる良さが当然あり、それらの良し悪しは決められない。今、想定しているのは、例えば「ドーナツホール」のMVみたいなのは当時の「最適解」だったんじゃないかということ。もちろん米津玄師が自分で絵も描いてたということも含めて。(最近の作り直したver.のMVもいいが、「頑張って作ったねえ」という感じ。)(今当時の方の「ドーナツホール」を観たが、一番のBメロでキャラクターが順番に地面に埋まるとこは今見てもかっこいいな、すごく単純な編集だけど。)(あと、米津玄師の描く女性は旧来的な女性性を過度に強調したりしてなくてとてもいいと思う。)

Profile
滝鷹介 Taki Yosuke

1997年神奈川県生まれ。小説家。POLY LIFE STUDIOを主宰する。

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(ほぼ)毎日更新。各回のサムネと1行目は、サブスクで新しいアルバムを聴くのは1日1枚までという自分ルールのもとでその日に選ばれたアルバム。

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