2026.07.04(SAT)
●Bobby Oroza(Finland)『Get On The Otherside』(2022)
●Xで繋がっているconc雑誌さんという方がリツイートしていたこれが非常に気になる。
ゲーム内でサウンドレコーディングをするっていうsteamとかで買えるゲームのPVなのかと思ってみたら、途中でゲームの画面の前で(かつスクリーンにも大きく画面が投射されている)プレイしている男性の映像がでてくる。それで調べたらそもそもアート系?の展覧会のインスタレーションとして作られたみたいだ。
https://www.tokyoartsandspace.jp/static/file/publication/2025/booklet/OPENSITE10_MARUYAMA_Shoya.pdf
だとするとこのゲームだけ取り出しても片手落ちなのかもしれないけど、でもこのゲーム自体がめちゃくちゃ気になる。ゲーム内でサウンドレコーディングするって普通に考えたら結構おかしい。だって、このゲーム内の環境音は明らかに「ゲーム外」で実際にサウンドレコーディングしたものだろうし、そうでなくてもシンセで「再現」した音のはずだ。だから、「純粋な」?環境音ではない。でも、ゲーム内では視点人物を操作して自分で好きな音を録る(切り取る)ことができる。単純に言えば、自然の環境音という「オリジナル」をサンプリングした別の楽曲をさらにサンプリングしている、みたいなことに対応するかもしれない。素朴には2回目のサンプリングを行うなら、直接オリジナルからサンプリングした方が劣化も少ないということにもなるけど、2回目のサンプリングは行為の質みたいなものがかなり違うと思う。けどそこは今はうまく言えない。
ただ、実際の原曲のレコードがある楽曲のサンプリングと異なるのは、原理的には自然の環境音は再現性がない、というところだろう。異なる時間に、同じ川の近くの同じ場所にマイクを設置しても同じ音は録れない。このゲームでは、おそらくどこかで実際の録った環境音がゲーム内の空間で鳴る。どういうシステムかわからないが、この時点でゲーム内の環境音は限られた音源に固定されるので、ある程度の再現性がある(有限性をもつ)。ここに自然の環境音を録ることとの大きな差異がある。これは言うまでもなく有限だからしょぼいみたいな話では全然ない。
とはいえ、このゲームの作り込み具合から想像すると、例えば一つの川の近くで流れる(ややこしい!)環境音は、一つの音源だけがループされてると言うほど単純ではないと思う。音源だけでいっても、数種類のパターンがあるかもしれないし、いくつかのパートに分けて順番をランダムに配置すればそれだけでかなりのパターンが生成できるだろう。さらに言えば、ここが面白いことだけど、ゲームの空間の設定を利用すれば、一つの音源でもキャラクターのいる位置によって、聞こえる(=ゲーム内で鳴る)音の指向性を変えることもできるはずだ。これは現実の音の聞こえ方でも当然同じだが、ゲームではそんなに音源との位置の指向性みたいなことは意識されてこなかったんじゃないか。(その点、効果音はサラウンドで位置が重視されている気がする。一番、それがシビアなのはFPSの銃声や足音(物音)だろう。)
とにかくゲームを実際にやらなくても、考えているだけで楽しい。
(ハイドロフォンまであるのが渋い!)
(あと書きながら、マイクラみたいなオープンワールド系のゲームで、スイッチでいつでもスクリーンショットが撮れる感じで好きなときに録音できる機能があればいいのに、とも思う。まあ実現しないだろうけど。)
●ドラマの『片想い』を再放送されていたのを、(ドラマのことは全然知らなかったけど)テレビでやっていたのを前半観て、後半を録画していたのを今日観た。ストーリーは何でもないラブコメ。芦田愛菜はやろうと思えば実際の年齢よりも上の「大人な」演技もできるだろうけど、このドラマだとラブコメの少女漫画のキャラがそのまま出てきたみたいな、半分コントみたいなキャラを演じている。
ドラマで幼馴染の岡山天音と芦田愛菜が二人で、岡山天音の実家の豆腐屋を手伝うのだが、前半にこれみよがしにあやしいフラグが立っていた豆腐屋の機械が故障し、機械を買い換えるにはかなりのお金がかかるから豆腐屋をたたむなら今だ、続けるか続けないかは子どもの頃から豆腐屋を愛してくれた芦田愛菜が決めてくれとなって、芦田愛菜はやりたいと言って結局機械を直して豆腐屋は存続する。のだけど、この長年使ってて限界のきた豆腐を作る機械——しかも業者に頼んでも古い機械だから修理ができず買い替えになるとされる——として劇中で使われている実際の機械がどうみても新品のピカピカで笑える。もう少しどうにかできなかったのか笑
(ここの機械を修理しにきて本当に一瞬だけ映る役の人が錦鯉のツッコミの人(渡辺?)で、そこがダントツで面白くて声を出して笑った。映像のこういう面白さって結構根源的だと思う。小説でできるのかな。)
一応、この最後の豆腐の機械の故障というわかりやすいクライマックス?はあるけど、それを乗り越えても二人が豆腐屋を手伝う日々が続いていくだけだ。その前に岡山天音はイラストで食っていくのを半ば諦めて東京から戻ってきてるし、ある意味世俗的に言えば「低きに流れる」的な終わり方だ。それがいい。そういう作劇が最近はやっぱり多いのだろうか。恋愛でいっても、タイトルの通り、結局最後まで芦田愛菜の片想いのままで終わる。最後の方で、豆腐を納品しているスーパーの人に「苗字同じってことは……新婚さん?お似合いだねえ」みたいなことを言われて(二人は実家が隣どうしでたまたま苗字が一緒という設定。「……」の沈黙の間に芦田愛菜は「また、『兄弟』って言われるんだろうな……」という渋い顔をする)、「え、新婚だなんてそんな〜\\」みたいになって、一番最後も自分の部屋で「新婚だって〜〜グフフフ」(本当にこんな感じ)みたいなことを言っているのを、ベランダが繋がった岡山天音に聞かれたかもしれないみたいな感じで終わる。まあその細部はいいのだけど笑、とにかく特に二人が結ばれる訳でもない。全体に開かれた終わり方。
●私は岡山天音が好きだ!『ひらやすみ』でヒロトをやってくれたからだけど、このドラマを観てやっぱりいいなと思った。