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日記 definitive

2026.09.30

2026.09.23(WED)

●Kanye West『The College Dropout』(2024)

●3ヶ月分書き溜めてた日記をHPに流し込み微調整もして、明日ついに公開できる。

●100de名著の『すばらしい新世界』の回を見た。

ハクスリーはオーウェルの師匠らしく、オーウェルが『1984』を書いたとき「自分は何十年も前にファシズムの小説を書いた」と伝えた?らしい。面白い。

小説の中では遺伝子操作がされて、「産業的」に人間が研究所で作られていて、生まれたときからα、β、γ、δ、εの階級を付与されている。この階級は、まあ歴史上いろんなところにある/あった階級制度と同様に基本的に階級の移動はなく、高い階級によって低い階級の者は差別される。εの人などは基本的に土木作業のような労働が運命付けられており、それどころか遺伝子操作の段階で寒冷地に送られる個体は、寒さに強い遺伝子を与えられたりする。

まあ設定の細かいところは全然違うが、名称からしてやっぱりBLにおけるオメガバースを連想する。私はオメガバースものが好きではないが、それは異世界転生ものと一緒で設定の枠が強すぎるというか、単純に創作における世界を立ち上げることへの怠慢だと思うからだ。それはおいても今回思い出して、やっぱりそもそも、この階級という設定を踏み台にして萌え(もっと単純に恋愛のストーリー)を作り出すのは、色んな生まれたときに決まるタイプの属性にもどづく差別に対する意識が少し薄すぎるのではないかと思った。これは単なるポリコレ的な発言に取られかねないので、言い方が難しいが、やっぱりロミオとジュリエット的な位の違う二人がその障害を乗り越えて「位を超えて」愛でつながることによる感動?みたいなのは別に昔からいくらでもあるわけで、それでもそれを繰り返す(しかも大抵粗雑に設定・パターンの流用によって)ことは、愛で障害を乗り越える前の分かり合えない位の違いのベースの方が確かにある・動かしがたいということを強化する、あるいは構造を再生産し内面化させることにつながると思う。いやでも実際書かれる作品は最後は愛で結ばれるわけで差別を乗り越える希望を見せているではないか、と言われれば一見正しそうだが、作者も読み手も明らかにその差別それ自体に関心があるわけではないのは明白だ。ゴダールが言っていた「産婦人科の病院が映れば監督は赤ん坊の鳴き声の音声を足したりするが、かといってその監督が赤ん坊に興味があるわけではない」だ。二次創作にあれこれ言うのも野暮だが。

調べたら、オメガバースはイギリスで生まれたとあって驚いた。階級社会が根強いイギリス発というのは。

日本には階級はない? あなたにはブルーワーカーの人や生活保護を受けている人、家がない人の友達はいるだろうか? 階級が「ある」というのは、社会活動や交友関係のネットワーク自体が分離してしまっていることがほとんどで、階級を気にしないでいれるというのは逆説的に(隠された)階級が存在していることを示している。と、「あなた」に問いかけることで自分の何かを回避している。

●番組で朗読をする役者の読み方は「上手い」がゆえに退屈だった。

●小説で、フォード社がその社会の中枢になっていて、暦はフォード暦になり、イエスの十字架の代わりに十字架の上を削ったTの形(T型フォード)をみんなが崇め、Oh my god!はOh my Ford!になっている。こういうSF的なジョークは面白い。

●伊集院が「最近ドパガキという言葉を知った」と今の時代の子供たちはかわいそう(雑な略)みたいなことを言っていて、これはXで誰かも言っていたが、そのような文化状況や個別のコンテンツを「お金になるから」作ってきたのはあなたたち上の世代であって、上の世代「にも」責任があるどころか、子どもの時代なんて環境によって個人に関係なく影響されてしまうに決まっているのだから、上の世代「にしか」責任はないと思うのだが。そしてほとんど私もそういう世代に入ってきている。伊集院が個別にどうとは思わないが(むしろこの番組を見ていてやっぱり広い意味で「賢い」なあといつも思う)、「おじさん」はこういうことを言ってしまう。無邪気な「昔は良かった」も実はほとんど同じ種類の言葉だ。

Profile
滝鷹介 Taki Yosuke

1997年神奈川県生まれ。小説家。POLY LIFE STUDIOを主宰する。

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日記 definitive

(ほぼ)毎日更新。各回のサムネと1行目は、サブスクで新しいアルバムを聴くのは1日1枚までという自分ルールのもとでその日に選ばれたアルバム。

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