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日記 definitive

2026.09.23

2026.07.22(WED)

●Gia Margaret(US)『Singing』(2026)

●テレビでAIの技術で感触・触り心地を再現する機械?が紹介されていた。噛んだ後のガムのっぽくというと、それっぽく確か風が振動で指先がそう感じるとかそんなだ。そのディティールはどうでもいいのだけど、視覚や聴覚で色んなものが再現する技術は映画なり音楽なりいくらでも発展してきたわけだけど、(五感ではないけど「造形」みたいのも3Dプリンターでなんでも作れる、クラインの壺とかじゃなきゃ)感触までくるとちょっと怖いなあと思った。あと嗅覚も。それらは結構原初的な感じがするので。

嗅覚の「再現」はもちろん、いちごの香りなら「本物の」いちごの成分を持ってくれば一応「再現」はできる。けど、それでできることって、昔の漫画雑誌の付録みたいに擦ると香りがするとか、エンタメ的な映画館でシーンに合わせた香りが場面ごとに出てくる、とかそんなレベルだ。(もっと最先端の技術はわからない。)ちょっとずるい比較だけど、視覚なら「本物の」いちごが全くなくても、絵の筆致や画面の色彩によっていちごが目の前にある感じが結構技術的に簡単に出せる。でも実は?嗅覚も「本物」を全く介さずに、近い組成の化学物質を合成すれば、近い香りを再現することができる。でもやっぱり視覚・聴覚に比べて嗅覚の再現が「本物」を持ってくるより面倒なのは、今言ったように、素朴には視覚や聴覚が「物理」レベルの刺激であるのに対して、嗅覚が「化学」レベルの刺激だからということがある。

簡単にいうと、物質を見るスケール(大きさ)によって、学問として物理<化学<生物という階層がある。(雑にいうと。)原子とかもっと小さい素粒子とかを見るのが物理、原子とか原子が結合した化合物からタンパク質とかさらに大きいところを見るのが化学、化学の成果がありつつそれがめっちゃいっぱい集まった系としての生物(の中)を見るのが生物、ということだ。視覚・聴覚は、光と媒質の振動(光も振動だが)というそれぞれ物理的なスケールの現象を捉えていて、嗅覚は化学的な現象を見ている。すごく単純に言えば嗅覚の方が「高次」で「複雑」だ。眼というレンズに入った光が網膜に投影されて……というメカニズムも難しいと言えば難しいけど、鼻(や口)に入った気体が鼻腔内の湿った粘膜に融解することで何がしかの反応が起こってそれが別の反応として感知され……見たいなメカニズムはもっと込み入ってて複雑だ。

で、結局何をいいたいのかというと特にないのだが、少なくとも「五感」として並列されている感覚はかなり雑なカテゴライズであるとは言える。五感というとそれしかないように思えるけど、そこに数えられない、湿度や気温を感じる感覚とかも「基幹的」じゃなさそうだけど結構すごいと思うしちゃんと「感覚」だ。

●漫画の『日常』を読み返してるけど、この漫画はほぼ全編にわたってアニメ化された6巻まで以降が特にどんどん狂ってきてヤバくなる。(ちなみにアニメはアニメで傑作だと思う。特に声優の演技。でも確かメインのキャラの声優は当時そんなにキャリアがなかった声優さんだったと思うけどそれもすごい。)そのヤバさをちゃんと書くには今は準備が足りないんだけど、ギャグ漫画から始まって内側からそれを内破して、でもそれがちゃんと面白い(=ギャグ漫画)であるっていう、色んな表現で革新的なことをやるパターンの典型だと思う。たとえば、10巻は素朴な「フリオチ」みたいのは全然ない、と思う。

『日常』10巻はギャグ漫画として「完成」してると思う、これ以上進めないよな、と。その点、ゆらゆら帝国の『空洞です』と同じだと思う。ただ『日常』が『空洞』と違うのは、ゆら帝を知らない人が『空洞』を聞いても良さがわかるけど、日常を読んだことがない人が10巻を読んでも全然良さがわからないと思う。それは続き物として、キャラの関係性とか文脈がわからないということももちろんあるけど、なんかもっと違うレベルで。あらゐけいいちのコマの見方の修練?みたいな?

その辺、ユリイカのあらゐけいいち特集を見れば「言語化」されているのかもしれないけど、それは興味ない。

(とはいえ、日常10巻が細部において全部が良いとは当然思わない。特にふぇっちゃんとウェボシーの出番は(そもそも4コマで出てくるからだが)大体動きがないから、「掛け合い」の面白さになる。けど、そこはそれほど面白くない。)

Profile
滝鷹介 Taki Yosuke

1997年神奈川県生まれ。小説家。POLY LIFE STUDIOを主宰する。

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(ほぼ)毎日更新。各回のサムネと1行目は、サブスクで新しいアルバムを聴くのは1日1枚までという自分ルールのもとでその日に選ばれたアルバム。

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