article thumbnail color 1 article thumbnail color 2 article thumbnail color 3 article thumbnail color 4

日記 definitive

2026.10.02

2026.10.01(THU)

●Khruangbin(US)『The Universe Smiles Upon You』(2015)

●PINFUくんのお知り合いの石川さんという方のXのツイートの文体がとてもいい。他にもXの文体がいいなあと思う人は何人かいるが、一方で私自身はX自体が苦手?なのでそっちの文体を磨くみたいな意識がない。それはそうと、作品としての文章以外で私が一番リラックスして?よい文体で書けるのは、ごく少数の仲のいい友だちとのラインで絵文字なしの低いテンションでふざけているときだと思うのだけど、要はこれは多分小説を書いているときも通底しているのだけど、友だちと会って話しているのではなくて一人でスマホに向かっている時はテンション高い訳がないわけで、だからそこを嘘をつかないでリアル(ここでいうリアルはヒップホップ的な意味でのリアル)でいたい、ということでもある。

●音楽好きの謎のプライドで青春時代に聞いていた邦楽を黒歴史として封印して生きているけど、年に数回くらい中学高校のとき聴きまくっていたamazarashiを聞いたりする。それがまたきた。黒歴史とかいいつつ、たとえば世代的にRADWIMPSとかに比べて「学生のときめっちゃ聞いてましたわ笑」みたいな話をするには、意外と聴いていた人が少ないというか会ったことがない。名前はみんな知ってたりするし、事務所だけでいえばバリバリメジャーアーティストではあるのだが。

amazarashiの秋田ひろむは青森の出身でとにかく近代文学(特に宮沢賢治と同郷の太宰)が好きで歌詞にも度々関連する単語が出てくるし、そもそも少なくとも初期は世界観も太宰っぽい。だから厨二病とかネガティブとかいうことはできるけど、あの時代の同世代の中では割と歌詞の強度があるし、物語風の話もJ-POPっぽくフワッとしていなくていい。「ピアノ泥棒」で元ピアノ弾きの泥棒が楽器屋に憧れの《スタインウェイのヴィンテージ》ピアノが入荷しているのを見つけて、《じっとしてられな》くなって《忍び込ん》で《午前三時のニ長調》を鳴らす話が二番まで語られて、三番で《全部嘘》と言って今はピアノをステージで弾くピアニストになっているというのとか。(三回あるサビが全てピアノを弾いているシーンに対応していて、一番はピアノを見つけて盗んでピアノを弾く妄想、二番は今言った夜中に忍び込んで弾くところ、三番は実際にピアノの奏者としてステージで弾くところ。)

思春期の頃の鬱屈というのは凄まじいものだったとは思うが、大人になった今の記憶には具体的に全く残っておらず、何か大きな衝突や事件のようなものもなかったと思うが、amazarashiの以下のような歌詞に共感?というか心が動いてたのだから(今も)十分と何か混沌としたものを抱えていたのだと思う。(ダサい書き方だなあ。)

今まさにヒットを放った 4番バッターのあいつは
一年後の冬に 飲酒運転で事故って死んだ
その時 誰もがあまりの空っぽに立ち尽くしていた
母さんが汚れたバットを抱きながら泣き叫んでいた
(「少年少女」) 

身長が高くて 喧嘩が強い 太平はいつも 無茶な遊びを思いつく
「この鉄橋に一番 長くぶら下がったやつの 言うことは何でも聞かなきゃダメだぜ」
僕らはびびって出来なかったけど 太平は平気な顔でぶら下がる
7年後に太平はビルから飛び降りた そんな勇気なら無いほうが良かった

高層ビルの下でかくれんぼ あれから何年がたっただろう もういいかいまだだよって声もない
もしも今日があの日の続きなら 僕らの冒険を続けなくちゃ 六月の空を僕は見上げて
夏を待っていました
(「夏を待っていました」)

●人間の生は一日単位、つまり朝昼夜でいろんな身体の変化(と気温や日照、気圧などの環境の変化)があり、1週間とか1ヶ月とかごとの周期の変動、例えば肌のターンオーバーとか生理とか腸内環境のリズムとか?、があり、そして一年という外的な環境としても文化的にも大きい周期がある。これに加えてもちろん学校や仕事のようなところでの個人の社会的な変動やその周期も加わる。その全然周期の違う「波」やバイオリズム?のようなものの重ね合わせとしての今や〈私〉を考えることはできる訳だけど、それよりもその「波」というようなものが確かに存在するということの方がよっぽど重要だし「世界」に開かれることだと思う。(「波」の方が本質だ、と言うのは雑な言い方か。)

Profile
滝鷹介 Taki Yosuke

1997年神奈川県生まれ。小説家。POLY LIFE STUDIOを主宰する。

insta / X(twitter)
記事紹介
日記 definitive

(ほぼ)毎日更新。各回のサムネと1行目は、サブスクで新しいアルバムを聴くのは1日1枚までという自分ルールのもとでその日に選ばれたアルバム。

Copyright © POLY LIFE STUDIO